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キープ奏法~キーワード「持っていく」

レッスンで度々使用している言葉「持っていく」。

キープ奏法習得の過程で特に大切になりますので取り上げたいと思います。

 

最初に一文でまとめますと、「持っていく」という言葉の意味は、「タッチをキープしながら、なおかつ強弱を滑らかに繋いで弾いていくこと」です。(ここで言う強弱を滑らかに繋ぐというのは、自然で緩やかなクレッシェンド、デクレッシェンド等の強弱変化のこと。また、後述の自在な強弱とは、例えばメゾピアノの後、急に次の音をフォルティッシモにして、またすぐにピアノにする等)

 

最終的には、「持っていく」箇所と、タッチはキープしつつも、強弱を自在に使って弾く箇所を混ぜられるようになりますと、演奏に開放感が生まれ、よりピアノを弾く楽しさが感じられると私は考えておりますが、キープ奏法で弾く感覚が安定するまでは、強弱を自在に変化させますと、「バウンド」や、いずれブログでも取り上げる予定の「ラインのぶれ」等、タッチのキープが乱れやすくなると思いますので、キープ奏法習得の段階では、できるだけ「持っていく」ことを意識することが大切になると思います。

 

注意ポイントとしては、キープ奏法で「持っていく」弾き方と、タッチのキープはしていないけれども、強弱を滑らかに繋いでいる弾き方は、似て非なるものですが、最初のうちは特に聴き分けが難しいので、レッスンの中でも度々テーマとして取り上げる点になります。キープ奏法は、手、指の感覚を体に染み込ませることが一番大切かと思いますが、この様な演奏の聴き分けも、キープ奏法習得の助けになると思います。