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キープ奏法~指を十分に使うタッチを標準に

前回のブログでは、「指を十分に使う打鍵」と「少しだけ使う打鍵」があるという話をしました。

 

音量については主観ですが、おおよそメゾピアノからメゾフォルテ以上の時には常に指を十分に使う打鍵になり、それ未満の場合は少しだけ使う打鍵になります。キープ奏法のステップ2のトレーニングでは、指を十分に使った状態にして保持していただくわけですが、このトレーニングの目的は指をしっかりさせることはもちろんのこと、繰り返し行っていただくことで、自分にとっての標準(あたりまえ)のタッチを、指を十分に使う打鍵にする、という意味合いもあります。

 

何だか説明がわかりにくくなってしまい申し訳ないのですが、例えば、仮に特に意識せずドレミファソと弾いてみるとします。このような時、指を十分に使う打鍵が標準になっている場合は、「弱く弾こう」と思わない限り指を十分に使い(メゾピアノ以上の音量で)弾くわけです。逆に指を少しだけ使う打鍵が自分にとっての標準になっている場合は、自分にとっての普通の打鍵がメゾピアノ未満の音量になっているので、「強く弾こう」と思わない限り、特に意識せずに何気なく弾く際には弱い音で弾く可能性が高くなります。

 

このように文章にしますと、あくまでも意識の違いのみであまり重要性を感じられないかもしれませんが、指を十分に使う打鍵が標準になっている場合と、指を少しだけ使うことが標準の場合では、曲を弾く中で自然に頭に浮かぶイメージ、そして実際に出てくる表現の幅が、多くの場合にはっきり分かるほど大きな違いになりますので、レッスンでも時折、例を挙げながら説明させていただきます。

 

私自身がキープ奏法を整理していた段階を振り返りますと、何度も指を少しだけ使うタッチが自分にとっての標準になってしまっていた期間があり、そのような時には、例えばよほどドラマティックなイメージ等を持って弾かない限り、どうしても少しおとなしめだったり、のびのびと弾いていない、強弱の幅が狭いといった違和感が感じられる演奏になってしまっておりましたので、その状態から脱出する難しさを身をもって感じております。

 

以上、今回は打鍵の標準を指を十分に使うものに、という話でした。

ステップ2のトレーニングはすぐに効果が実感できる、というものではありませんが、私自身も現在進行形で続けておりますので、是非一緒に頑張っていきましょう♪