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キープ奏法〜音の強弱とアーティキュレーション

今日は、キープ奏法を意識して曲を練習する際に陥りやすいポイントについて取り上げます。

 

キープ奏法は、タッチをずっとキープして弾いていく奏法ですが、少し意識するポイントがずれてしまいますと、本来は関係のないはずの強弱やアーティキュレーションまで変化を付けることをためらってしまうような、消極的な演奏になってしまうことがあります。このような状態には、私自身も何度も陥ったことがあるのですが、特に強烈なフォルテや歯切れの良いスタッカート等で、タッチのキープが乱れそうに感じてしまい、無意識におそるおそる弾いてしまうケースが多いので、要注意です。

 

前回のブログでも取り上げました通り、タッチのキープがバウンド等によって乱れてしまうと、演奏がカクカクしたり、緊張が途切れてしまう訳ですが、タッチをキープすることは、強弱やアーティキュレーションとは無関係ですので、どのような強弱、アーティキュレーションであっても、もちろん同じタッチで弾くことが可能です。

 

また、これとは別に、まだ手を楽にした状態でのキープ奏法で弾くための指ができていない場合にも、フォルテや鋭いスタッカートの箇所で、思うような音が出せない場合があると思います。このような場合、無理にすぐ自分のイメージに近づけようとしますと、タッチのキープを乱し、無理矢理音を出してしまう危険が高くなりますので、キープ奏法のステップ2のトレーニングを根気よく続けながら、焦らず、少し長い目で取り組んでみてください。ステップ2を上手く継続していきますと、しばらくして同じ箇所を弾いた時に、いつのまにか前より弾きやすくなっているという体験が得られるかと思います。